日本人の平均寿命は、すでに男女とも80歳を超えています。
女性の平均寿命が初めて80歳を超えたのは1984年。男性が80歳を超えたのは、それから約30年後の2013年です。
男性が80歳を超えるまでに時間がかかった背景には、がんや心疾患などの死亡率の男女差に加え、喫煙や飲酒などの生活習慣、自殺や事故など、さまざまな要因が関係していると考えられています。
このように、時代や生活習慣によっても変わっていく寿命ですが、これから先はどう予測されているのでしょうか。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、「平均寿命」について、2020年の男性81.05歳・女性87.72歳が、50年後の2070年には男性85.89歳・女性91.94歳に延びると予測をしています。
一方、平均寿命はずっと延び続けているわけではありません。コロナ禍では、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、2年連続で短くなった時期もありました。
将来推計ではありますが、女性の平均寿命が90歳を超える未来は、もうそれほど遠い話ではありません。
寿命が延びるのと同じように、「健康に暮らせる時間」も延びていくのでしょうか。
平均寿命だけでなく「健康寿命」にも目を向けてみると、長寿化する日本のもう一つの姿が見えてきます。
ちょっと気になる話_____
100歳以上の人が、初めて10万人を超えました。
2026年9月15日時点で、全国の100歳以上の高齢者が初めて10万人を超えたことが、厚生労働省から発表されました。
その背景には、生活環境や食生活の改善、医療技術の進歩などがあるとされています。
そして、もうひとつ気になるのが男女の違いです。
100歳以上の高齢者のうち、約88%を女性が占めています。
平均寿命だけでなく、実際に100歳を超えて暮らす人にも、大きな男女差があることが分かります。
100歳を超えることが、以前ほど珍しくない時代へ。
では、長くなった人生を「健康に暮らせる時間」は、どのくらいなのでしょうか。
出典:厚生労働省「令和8年度百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈について」「上野大臣会見概要」(令和8年9月15日)
厚生労働省が発表している平均寿命の最新公表値は2024(令和6)年の男性81.09歳・女性87.13歳です。(ちなみに、平均寿命は毎年延びているわけではありません。コロナ禍では短くなった時期もあり、2024年は2020年と比べると、男女ともやや低い水準となっています。)
一方、健康寿命の最新公表値は2022(令和4)年となっています。
そこで、平均寿命と健康寿命を同じ2022(令和4)年で比較してみると、平均寿命は男性81.05歳・女性87.09歳、健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳。
平均寿命と健康寿命の差は、男性8.49年、女性11.63年となっています。
つまり、平均すると男性では約9年、女性では約12年、健康上の問題によって日常生活に何らかの制限がある期間があることになります。
平均寿命と健康寿命(2022年)
※出典:厚生労働省「令和4年簡易生命表」「健康寿命の令和4年値について」
平均寿命と健康寿命の間には、一定の「差」があります。この差は少しずつ縮まってきているものの、2022年時点でも男性で約9年、女性で約12年。
こうしたなか、近年注目されているのが、「何歳まで生きられるか」だけでなく、「いつまでも健康で、自分らしく暮らせるか」という健康寿命です。
テレビや新聞などでも健康寿命をテーマにした特集を目にする機会が増えました。運動や食生活、社会とのつながりなど、健康に暮らし続けるための情報もさまざまです。
長寿の時代を迎え、私たちの関心も「長く生きること」から、「元気に、自分らしく生きること」へ。
そして、その関心は健康寿命を延ばすことだけでなく、健康状態が変化した後の暮らし方、「どこで、誰と、どのように暮らしていきたいのか」。
その先の暮らしまで見据えて、自分のこれからを考える。そんな意識の広がりを感じます。
健康寿命の推移
2001~2022年。男女とも長期的には健康寿命が延びている
※出典:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
では、私たちは何歳くらいから「健康」やその先の暮らしを意識するのでしょうか。
ある調査では、「健康の維持」を不安に感じる人は50代から徐々に増え、60代前半では、男性64.0%、女性72.4%となっています。
内閣府が全国の60歳以上を対象に行った調査では、老後のために必要だと思う備えとして「健康に関する備え」が80.7%と最も高くなっています。
次いで「終活関係の準備」が38.1%、「住まいに関する備え」が25.5%、「資産形成」が24.2%と続きます。
その一方で、「財産管理に関する備え」は7.8%でした。
老後のために必要だと思う備え
全国の60歳以上の男女2,188人/複数回答(3つまで)
※出典:内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」
健康への備え 80.7%
財産管理への備え 7.8%
その差、約10倍。
日々の生活に目を向けてみると、健康維持のために、食事や運動などを意識している人も多いことが分かります。
一方で、財産管理については、元気なうちはなかなか「自分のこと」として考える機会がないのかもしれません。
実際の相談現場では、認知機能が低下してから財産管理の問題に直面するケースも少なくありません。
「自分でお金を管理することが難しくなった」「不動産を売却したいけれど手続きを進められない」など、困りごとが生じてから初めて、財産管理について考えることもあります。
実は、「親の預貯金」や「実家」をどうするかは、多くの家庭にとって身近な問題です。
データから見えてくること_____
財産管理への備え、必要性の認識はまだ低い?
内閣府の見解では、財産管理への備えを必要と考える人が1割以下であることについて、「認知機能の低下等に備えた財産管理の必要性の認識が薄い」としています。
認知機能が低下すると、日常的なお金の管理や、さまざまな意思決定に支障が生じるおそれがあります。
財産が多いか少ないかにかかわらず、「自分で管理できなくなったとき」を元気な内に考えておく。
そんな備えも、これからますます身近になっていくのかもしれません。
出典:内閣府「令和7年版高齢社会白書」「令和6年度高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)」
興味深いことに、同じ内閣府の調査では、認知機能の低下がみられる人ほど「財産管理に関する備え」を挙げる割合が高くなる傾向もみられます。
健康なときにはまだ遠く感じていたことが、健康状態の変化とともに、少しずつ現実的な問題になっていくのかもしれません。
健康であるからこそ、できること。
健康なうちだからこそ、考えられること。
健康寿命への関心が高まっている今、その先にある「住まい」や「お金」「財産」のことも、私たちにとって少しずつ身近なテーマになっていくのかもしれません。
平均寿命や健康寿命について調べてみると、「健康でいられる時間」だけでなく、その先の暮らしをどう考えるかというテーマも見えてきました。
次回も、家族やこれからの暮らしにまつわる「ちょっと気になるデータ」を取り上げていきます。
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