法務あれこれ/スタッフブログ

仲裁という言葉のニュアンス

私事ではございますが、先日、行政書士試験を受験しまして、

全55ページ、法令科目と一般知識で構成された60問が出題され、3時間以内に回答するという試験でございます。

私は法律系試験初心者で、奮起して受験し、1問目は・・1問目は自信があったんです

 

行政書士試験は、終了したその夜から、法律系の予備校がyoutubeなどで、回答講座なるものを一斉にはじめ、受講生でなくても視聴することが可能です。

答案も順次発表されていきます。

1問目から×

このテンションの下がり様、お察しいただけますでしょうか。。

本日、やっと落ち着いた気持ちで1問目が何だったのかを見返してみました。

 

問題1
次の文章の空欄「ア」~「エ」に当てはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

出典元は、川島武宜「日本人の法意識」1967年

文章は、下記のように始まります。

 

 現代の法律上の用語として「ア」というのは、紛争当事者以外の第三者が「イ」の条件(内容)を紛争同時者に示して、当事者の合意(「イ」)によって紛争を解決するように当事者にはたらきかけること、を意味する。このような意味での「ア」は、法律上の用語としての(「ウ」)とは区別されなければならない。

 

更に問題文は続くわけですが、ここで、一旦、1~5の選択を確認してみる。

アの言葉として5つ書かれているんですが(5タイプから選択するので)、何となく1か2だなと。

1⇒ア:調停

2⇒ア:仲裁

なぜなら、1と2のイには「和解」があり、これだなと想像ができるし、文章的にもツラが合う。

難解な文章を読み進める中、一般人にも広く知られている『広辞苑』にこう記されているという言葉が出てくるのです!

 

その時の私は、その一説にすがる思いで読みました。

 

 ・・・『広辞苑』には、「(ア)」ということばの説明として、「双方の間に立って争いをやめさせること。中に立って双方を円くまとめること。「ウ」」と書かれている。そうして、奇しくもこの説明は・・

 

と続くわけなんですが、

 

仲裁:双方の間に立って争いをやめさせること。中に立って双方を円くまとめること。

 

いかがでしょう。

日本で暮らしてきた人なら、

 

 ” 間違いない。”

 

と言ってくださるのではないでしょうか。

 

が、しかし、、、間違いだったのです。。

 

後から落ち着いた気持ちでよく文章を読み直してみると、

そもそも、この文章には、日本人の中で「調停」という言葉と「仲裁」という言葉が明確に分かれずにきたというような趣旨の話が語られていました。

法学では、「調停」と「仲裁」とは明確に分けられています。

「調停」では、当事者の最終判断で和解に至り、法的拘束力は無し。
「仲裁」では、当事者は第三者による紛争の解決に服することに合意、確定判決と同一の効力を持つ。

※調停調書には判決文と同じ効力があります。

これを理解していないと、どちらの言葉を入れても文章として成り立ってしまうのです。

 

「行政書士ってどんな仕事?」と聞かれることがあり、

「実務をやっている人の方が試験に有利なんじゃないの?」とも聞かれます。

私は、毎度「いや、試験内容と実務は別。」と答えているんですが、「じゃー、何のための試験?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。

私なりの見解ですが、やはり、物事をじっくり見定めることや注意深く観察できる資質が伴わないと行政書士のような仕事は務まらないんだと思います。

もし、そういう資質が無いんであるなら、試験勉強を通して、そういう資質を磨きなさい。
そういう事なんじゃないかと感じております。

 

最後に、回答の言葉を入れて、『広辞苑』の文章を完成させておきます。

 

『広辞苑』には、「調停」ということばの説明として、「双方の間に立って争いをやめさせること。中に立って双方を円くまとめること。仲裁」と書かれている。

 

なるほど・・全く、違和感がございません。

 

2020.12.7

梅谷事務所/高橋

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