委託者(所有者)の保有資産が信託財産に入っても、評価額の総額に変更はありません。
ですので、信託を組んでも、相続税上は不利にも有利にもならず、「相続税軽減のために信託を組む」という行為は意味をなしません。
財産を信託財産に入れた場合、その財産は、相続税の評価額計算上では、『所有権』から『信託受益権』に扱いが変わります。しかし、信託受益権の評価額は、通常の財産所有権の評価額と同額で計算されるので、所有権が信託受益権になったとしても、評価額の合計に違いは出ません。
なお、信託財産になっても、その財産が信託に入る前に受けることができていた財政上の優遇措置などは継続利用できます。
1978年兵庫県高砂市生まれ、岡山大学法学部卒業。「法務・会計 梅谷事務所」「はりま家族信託相談室」代表司法書士および家族信託専門士。2016年より福祉・医療関係者向けに「成年後見人制度」や法律に関する実務について研修を行う「梅塾 care&law~」を定期的に自主開催するなど、数多くのセミナー講師を務める。明治42年創業以来受け継いできた「地元での信用・信頼、誠実な仕事」をモットーに、日々、法務の現場で活躍する。