受益権も贈与・売買によって移転させることができます。
◆不動産(信託財産)の受益権を移転(贈与)させる場合
移動した権利はそのまま受益権として完全に有効です。
そのため、受益権を移動後に新受益者となった者は、委託者と合意するなどの条件を満たせば、信託契約を解除することなども出来ます。
なお、買主(受贈者)は信託受益権を取得しているのであって、不動産を取得しているわけではありませんので、不動産取得税は課税されません。
ただし受益者変更登記は行う必要があります。登録免許税は一件1000円です。
◆受益権の移転(贈与)ではなく、不動産(信託財産)を売買する場合
①信託契約を終了せずに不動産(信託財産)を売買する場合
②信託契約を終了して、不動産(信託財産)を売買する場合
上記①②について、信託契約を終了してもしなくても、売買の時点で、買主には不動産の所有権移転にかかる不動産取得税が課税されます。登記の登録免許税も、通常の不動産所有権移転と同じ額がかかります。
つまり、売買にかかる税の軽減対策として信託契約を設定することは無意味です。
1978年兵庫県高砂市生まれ、岡山大学法学部卒業。「法務・会計 梅谷事務所」「はりま家族信託相談室」代表司法書士および家族信託専門士。2016年より福祉・医療関係者向けに「成年後見人制度」や法律に関する実務について研修を行う「梅塾 care&law~」を定期的に自主開催するなど、数多くのセミナー講師を務める。明治42年創業以来受け継いできた「地元での信用・信頼、誠実な仕事」をモットーに、日々、法務の現場で活躍する。