家族信託の契約書を公正証書で作らない場合、単なる私文書で作成することになります。
私文書とは当事者間だけで作る書類の事です。
例)売買契約書、賃貸借契約書など。
書類を公正証書、私文書で作成した場合のそれぞれのメリット・デメリットを表してみました。
結論を先に申し上げておくと、梅谷事務所では、契約書は原則公正証書で作成します。
実務上、公正証書でしか対応できないことがあるからです。
また、メリット、デメリットを比較すると圧倒的にメリットが多いのもその理由です。
すぐに終わってしまう手続きならまだしも、信託のように何年にも渡る手続きの場合、信託契約の有効性が問題になるリスクが高いです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
公正証書 | ・契約書作成時、公証人が本人の意思確認をするので、後日の紛争になりにくい。 ・契約書を紛失した場合も、原本が公証役場に保管されているので再発行してもらうことが出来る。 ・外部とのやり取りが容易になる。 例)金融機関などで口座が作りやすくなる(公正証書でないと口座を作れない金融機関がある)。融資を受けやすくなる。 | ・費用がかかる。 ・契約当事者が必ず公証人の全面で契約をしなければならない。基本、平日の日中にしか作成が出来ない。 ・私文書に比べ、少しだけ時間がかかる。 |
私文書 | ・コストがかからない。 ・公正証書に比べ、少しだけ早く作れる。夜間や土日でも自由に作成が可能。 | ・後日の紛争につながる恐れがある。 例) ・本人の意思に基づいて作られたものか? ・本当に本人が署名したものか? ・作成時に本人に判断力があったのか? ・作成日は正しいものなのか? ・原本をなくすと再発行が出来ない。 ・外部とのやり取りが困難。不可能。 例)金融機関での口座作成や融資を受けることが出来なくなる可能性がある。 |
1978年兵庫県高砂市生まれ、岡山大学法学部卒業。「法務・会計 梅谷事務所」「はりま家族信託相談室」代表司法書士および家族信託専門士。2016年より福祉・医療関係者向けに「成年後見人制度」や法律に関する実務について研修を行う「梅塾 care&law~」を定期的に自主開催するなど、数多くのセミナー講師を務める。明治42年創業以来受け継いできた「地元での信用・信頼、誠実な仕事」をモットーに、日々、法務の現場で活躍する。