「財産的価値があるもの」は信託することができます。
財産的な価値があれば何でも信託できます。
以下は信託できるものの一例です。
①現金、不動産、借地権、動産
たまに、信託契約書に銀行口座を記載している方がいらっしゃいますが銀行口座は現金ではありません。預金債権です。預金債権は財産的な価値があるので信託出来そうです。しかし、通常「譲渡禁止特約」がついているので、信託出来ないのが実務上の考え方です。
動産の例としてわかりやすいのは車などでしょうか。
ペットは命あるものですが、法律上は動産と扱われますので信託できます。
②有価証券(上場株式、非上場株式など)著作権や商標権等
株式は、上場か未上場かを問いません。
また、ニーズはあまりないかもしれませんが、著作権や商標権等も信託できます。
③債権(請求権)、将来債権(未実現の請求権)
例えば、売掛金債権は、買主に対してお金を支払えという債権ですので信託できます。
また、貸金債権は、借主に貸したお金を返せという債権ですので、同様に信託できます。
①生命、身体、名誉
これらは、金銭的価値に置き換えることはできません。
②マイナスの財産(債務、連帯保証など)
不動産オーナーの方が、ローン付きで不動産を所有している場合、不動産を信託財産には出来ます。しかし、そのローンは債務にあたりますので、信託財産に入れることはできません。
実務上は、ローンについては、受託者が債務引き受けをすることになります。債務引き受けをすれば、実質債務を信託財産に入れたことと同じような扱いになります。
但し、ローン付き不動産については扱いが難しいので、必ず事前に金融機関との打ち合わせをしておく必要があります。
③一身専属権(生活保護受給権や年金受給権)
その人固有の権限にあたるものです。これらは他人に譲渡することが出来ませんので、信託財産に出来ません。
1978年兵庫県高砂市生まれ、岡山大学法学部卒業。「法務・会計 梅谷事務所」「はりま家族信託相談室」代表司法書士および家族信託専門士。2016年より福祉・医療関係者向けに「成年後見人制度」や法律に関する実務について研修を行う「梅塾 care&law~」を定期的に自主開催するなど、数多くのセミナー講師を務める。明治42年創業以来受け継いできた「地元での信用・信頼、誠実な仕事」をモットーに、日々、法務の現場で活躍する。