法定後見制度:
家族信託との共通点:判断能力の衰えた本人に代わって別の人間に財産管理を任せることができます。
家族信託との違い:本人の判断能力があるうちにしか結べない「契約」である家族信託と違い、本人の判断能力が衰えた後に利用を開始できます。ただし、後見人の選定から後見業務の執行まで、家庭裁判所の管理下におかれるため、財産運用に自由度は期待できません。
任意後見制度:
家族信託との共通点:判断能力の衰えた本人に代わって別の人間に財産管理を任せることができます。また、「本人の判断能力があるうちに後見人を指定しておく」形なので、本人の希望する人を後見人に指定できます。
家族信託との違い:後見人選定自体は本人の判断能力のあるうちにしかできませんが、その後見人が就任するのは本人の判断能力が低下して以降になります。制度そのものの運用は成年後見(法定後見)と同じく家庭裁判所の管理下に置かれます。そのため、運用の自由度は家族信託に劣ります
家族信託との共通点:自分の死後、誰に財産を継がせるか指定することができます。
家族信託との違い:「自分の死後、次に財産を継ぐ者」までしか継承順を指定できません。例えば、自分の死後は妻に財産を継がせ、その死後は孫に継がせてほしい場合、妻に孫に残す旨の遺言を書いてもらうという手段はありますが、その遺言は妻が亡くなるまでの間は何回でも変更出来ますので、自分の遺志を実現する手段としては確実ではありません。
家族信託との共通点:特になし
家族信託との違い:遺言を残していない場合、自分の死後に財産がどのように分配されるかは、基本的には法定割合によります。相続人全員が協議で合意すれば、それ以外の割合での分配も可能です。いずれにせよ、被相続人の遺志を確実に反映してくれるものではありません。まずは財産の棚卸しをして下さい。
1978年兵庫県高砂市生まれ、岡山大学法学部卒業。「法務・会計 梅谷事務所」「はりま家族信託相談室」代表司法書士および家族信託専門士。2016年より福祉・医療関係者向けに「成年後見人制度」や法律に関する実務について研修を行う「梅塾 care&law~」を定期的に自主開催するなど、数多くのセミナー講師を務める。明治42年創業以来受け継いできた「地元での信用・信頼、誠実な仕事」をモットーに、日々、法務の現場で活躍する。