①「遺言信託」という言葉には、文字通り「遺言による信託(民事信託のパターンのうちの一つ)」のことを指す場合と、
②「信託銀行に遺言作成の手助けを受け、出来た遺言を銀行に預けておき、自分の死亡後遺言の執行まで銀行に任せるサービス」の、2つの意味があります。こちらは、簡単に言うと、一般的な公正証書遺言を、信託銀行を介して作成するということです。要は普通の遺言と何ら変わりません。
ちなみに、信託銀行が謳っている「遺言信託」は②のことです。
①は民事信託の一類型なので、信託銀行を介さず作成できます。
②の信託銀行が扱う「遺言信託」は必ずしも信託銀行で作らなければならないわけではありません。
なぜなら、その中身は通常の公正証書遺言と変わらないからです。
銀行も、実際には具体的な手続きはその銀行と契約している専門職(司法書士など)に任せるので、銀行を通さず直接専門職に依頼することでも、遺言作成・その保管・その執行どの点でも、銀行に頼むのと遜色ない有効な手続きをすることができます。
銀行という信頼がおけるところを窓口にする安心感はありますし、自分で専門職を探す手間も省けます。また窓口も一つで済みますので、メリットもあります。
但し、銀行という窓口を通している分、33万円~110万円程度の手数料が加算されるのが一般的です。
1978年兵庫県高砂市生まれ、岡山大学法学部卒業。「法務・会計 梅谷事務所」「はりま家族信託相談室」代表司法書士および家族信託専門士。2016年より福祉・医療関係者向けに「成年後見人制度」や法律に関する実務について研修を行う「梅塾 care&law~」を定期的に自主開催するなど、数多くのセミナー講師を務める。明治42年創業以来受け継いできた「地元での信用・信頼、誠実な仕事」をモットーに、日々、法務の現場で活躍する。